第4章 熱気を食らう
突き抜けるような青空はソーダ味のアイスを彷彿とさせる色なのに、照りつける日差しのせいで涼しさとは全く無縁だった。春のくせに初夏ばりに暑いとはどういうことだ。太陽は有給を取ってくれ。もしくは雨雲、仕事してくれ。
『みっちゃん、私、今ならアイスの気持ちわかるわ……』
「奇遇ね、私は蒸しパンの気分を堪能中」
家庭科を乗り切って、四限目の体育の時間。男女別でやると人数が足りないので、体育はA組と合同だ。
男子が100メートル走のタイムを計っている間、女子は木陰で休憩していいとお許しが出ていた。トラックを使う種目以外の計測が、思ったよりスムーズに終わったからだ。
走る前から大半は暑さに体力を奪われていて、かと思えば中には男子の応援を元気いっぱいやってるような子もいたりする。
そんな様子を尻目に足下の雑草を引っこ抜いては放り投げ、私たちは愚痴大会を繰り広げていた。主に天候に対しての。
『ていうか、なんで長袖着てるの』
「焼けたくない」
『仁王みたいなこと言うねぇ』
「アイツ白いんだよなーいいなー」
話題の当人の方を見れば、既にタイムを測り終えたらしい。ちゃっかり日陰でしゃがんで休んでいた。隣の柳生君がこっちに気付いたので、とりあえず軽く手を振ったら、彼の番が回ってきたらしい。名前の順だから、これで男子も終了か。