第5章 マテールの亡霊
「よかった。隊長達、無事にAKUMAを結界の中に入れれたみたいだな。」
「みたいですね。」
無線の声が聞こえてから、隣にいる先輩が安心したようにこちらを見てくる。
できるだけびびってる事がばれないように平然を装う僕。探索部隊なるものがAKUMAにびびってたら隊長含めバカにされちまう。
でも・・よかったぁああああ!!これでずっと隠れてエクソシストが来るのを待ってたら助かる!!
神様ありがとう。
やっぱり僕は探索部隊に向いていない。
極度のびびりだし怖がりだし、何より死にたくない。死ぬんだったらこんなイノセンス放っておいて助かりたい。
でも他の探索部隊は違うんだ。自分の命よりもここにあるイノセンスを守りたいって本気で思っている。
僕には無理。今回の任務で確信したんだ。
もし・・もしこの任務を生きて帰れたら速攻移動願いを提出しよう。
[・・どうかな、この数のタリズマンで足りるかどうか。
中央の奴の姿を見ろ。あれはだいぶ人間を殺してる。]
バリィインッッ
その言葉が無線から聞こえた直後に、分厚い窓ガラスが割れるような。そんな衝撃音が鳴り響く。
は?は?は?
ドンッッ
今度は銃声と共に叫んでいる仲間達の声が無線から響き渡る。
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