第6章 傷 【青峰】
他愛もない話をしていれば、
こいつの家はすぐ近くだ。
「なんかごはん作ろうか?」
シャルにエサを与えているゆりが俺に尋ねる。
「お前…飯とか作れんのかよ?」
なんだか、意外だった。
さつきみたいにカオスなもの作んねえならいいが…
「あのね…私1人暮らしなんだから、
家事くらいできます…(~_~;)」
はぁ…とため息をついて、準備を始めたようだ。
「先に言っとくけど、ちゃんと食べられる
ものだから安心してくださいね。」
少し機嫌を悪くしたのか、棒読みの
言葉が俺の耳に届いた。
俺もキッチンへと向かい、カウンター越しに
ゆりの作業を見る。
「簡単でいい?」
「食えればいい」
「はいはい。座って待ってて〜。
…あ。お風呂とか入ったりする?」
風呂か…。着替えは部活用に何枚か
バッグに入っている。
「なら借りるわ。」
「今から溜めるから5分くらい待ってね」
ピピっと軽快な機械音が鳴る。
包丁を使ってテキパキ作業を進めるゆり。
…さつきもこのくらいできれば
テツにも振り返ってもらえるかもな。