第3章 地獄の練習
私はすぐ腰を落として構えた。
朝の時の感覚がよみがえってくる。
ダンッ
腕にボールの硬い衝撃が伝わる。
ボールは弧を描いて高木先輩へ向かっていく。
よかった、返せた。
一球目でしくじってしまったら、流石にかっこ悪い。
安心もつかの間、
ダンッ
高木先輩がボールを返してきた。
そこからは、いちいち感慨深く観察する暇はなくなり、ボールの硬い音と時々発せられる掛け声だけが響く。
ダンッダンッ 「ふじ!」ダンッ「ゆい!」
ダンッダンッダンッ「かおり!」ダンッ
「はるちゃん、横!」ダンッダンッ
ボールはネットの上を踊り回る。
「このまま試合形式に持ち込むよ!」
高木先輩が、私たちの方にボールを打ち返しながら、声をあげた。