【進撃の巨人】 never ending dream R18
第24章 エルヴィン・スミス①
裏山のふもとにある小屋から手持ちランプを持ち出し、明かりを灯す。
ユラユラと揺れる炎で足元を照らしながら、緩やかな山道を歩いた。
虫の鳴き声が妙に大きく聞こえた。
最後の力を振り絞るように鳴く、虫の声。
それはまるで、耐え難い現実に心が“痛い”と悲鳴をあげているかのような声だった。
俺達がマリーと出会ったのは、今からちょうど1年前だ。
あの日も俺達は、いつものように酒場へと繰り出し、グラスを片手に互いの“夢”を語り合っていた。
月に一度許される訓練兵の外出日。
朝から晩まで命懸けの訓練に追われている俺達にとって、唯一の楽しみといえば、仲間と語らいながら酒を飲む事くらであった。
そんな俺達が座るテーブルの横を、忙しそうに酒を運ぶ給仕の女がいた。
大人びた顔立ちの金髪の女。
それがマリーだった。
器量の良さに加え、無邪気で気立ての良いマリーに、たちまち俺は心を奪われてしまった。
月に一度、酒場へ訪れては、遠くからマリーを見つめていた。
それだけで心が満たされた。
マリーに触れたいと思った事はない。
なぜなら、俺は公に心臓を捧げた兵士なのだから。
しかし、俺は気付いていた。
ナイルの視線の先にもマリーの姿がある事に。