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amore【リボーン短編】

第8章 その距離、13.5センチメートル。~獄寺隼人~


獄寺くんのこと、もっと知りたい。

獄寺くんにも、私のこと、もっと知ってほしい。

…なんて、面倒な女と思われるだろうか。



「…女子って、寒そうだな。足」

『えっ?・・・そ、そうなんだよ~寒がりだからズボン羨ましいかも・・・』

びっくりした、獄寺くんから話しかけてくるなんて珍しいから。


『だけどね、このタイツ100デニールなんだけど結構あったかいんだよ?それにほら、マフラー手袋、カイロ常備してるから全然平気!』

「…ぷっ…っはは!完全防備じゃねぇか、そんなんで冬乗り切れんのかよ?」

私の話で獄寺君が笑ってる!!

『だからね、寒くなったらいつでも言ってね?』

「おー。そん時は頼むわ」

はにかんだ顔、なんてかっこいいんだろう。




手をつないだことも、もちろんキスもないけれど、獄寺君とこうして二人で、獄寺君を独り占めできるだけで、それだけで幸せ。



だって、武ほどあからさまじゃないけど、モテるんだもん。

ファンクラブ存在するみたいだし、京子やハルちゃんと違って特別可愛いわけでも目立つわけでもない私が獄寺君と付き合えるだけで、ってファンクラブの人に怒られるかもしれないけど……

一回だけでいいから、獄寺君の口から「好き」って言われたい。

「付き合ってくれ」とは言われたけど、

=好き、だと思うけど、不安になる。

獄寺君は、10年後の未来で私と恋人同士だったから付き合ってるんじゃないかって。

ああもう、私ってほんとめんどくさい女。


グー

「…わり。」

顔を背ける獄寺くんの耳は、赤い。



もうこんな時間だもんね、お腹すくよね。



…そうだ。


ぱんぱんに膨らんだ鞄を探る。

『獄寺君、チョコ好き?ポッキー食べない?』

「え…あ、おう…」

『どれ食べる?』

赤・白・ピンクのパッケージを並べる。

獄寺君は、真ん中のを指さした。

『極細おいしいよね!一番好きかも。』

「…普通のより、細いだけなんだよな?」

『もしかして食べたことない?獄寺君、あんまりお菓子とか食べなさそうだもんね。』

「あったら食うけど自分では買わねーな。つーかポッキー好きすぎだろ」

『違うよ、ポッキーの日だから!』

「・・・・・あぁ、11月11日だからか?」

『知らないの?』

「なんつーか、女子が好きそうなイベントだな」
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