第6章 まずはお友達から。~古里炎真~
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……あのー、古里くん?
歩き出してから、お互い無言なのですが。
…なんか話すきっかけ、うーん…
あ。
『古里くん。ジュース買ってくるね。』
「あ…うん。」
前方に見える自販機まで小走り、ミルクティーとレモンティーを購入。
『古里君、どっちが好き?』
すると古里君はおろおろしだして、
「いいよ、僕は、別に…そんな、悪いし」
『二つ買っちゃったから、飲んでくれないかな。冷めないうちに早く。』
「…じゃあ、こっち…」
『はい、どうぞ。』
「…あったかい、ありがとう」
『送ってもらうお礼だと思って。早めに飲んでね』
「…うん。いただきます」
一口飲んで、落ち着いたところで。
『と、ところで古里くん、話っていうのは…?』
どもった。恥ずかしい。
「あ・・・うん、これ…」
ポケットから取り出された、赤いリボンのついたラッピング袋を差し出される。
『私に?』
「…大したものじゃなくて…ハンカチなんだけど」
『ハンカチ?』
「この前、僕が殴られて教室に戻ってきたとき…ハンカチ、借りたままだったから…返さなくていいって言われたけど、申し訳ないし…」
あー・・・そういえば、そんなこともあったなあ。
保健室いけよ!って思った。
『逆に気を遣わせちゃったみたいだね…そんなつもりはなかったんだけど。それじゃ、もらうね。わざわざありがとう』
思えば、クリスマスに親族以外に物をもらったのは、小学校の学童保育でのクリスマス会以来かもしれない。
『…私の顔に何かついてる?』
「…あ、ごめん…その、いつも一人で静かに本読んでるから、…笑ったところ、初めて見たから…」
『あぁ…私、ひとりがすきだし、性格もこんなだから友達いなくて。だから、並中生が来たら嫌だなって思ってたけど…』
「…ごめん。」
『あ、ううん、古里くんだけだったし、古里くんは別。優しいし』
「…さんの方が優しいよ」
『あれは放っておけるレベルじゃなかったから…おせっかいかなって思ったけど』
「ううん、さんは優しい人だよ。転校したての頃、嫌な顔一つせずノート貸してくれたし」
『それは先生に言われたから』