第6章 まずはお友達から。~古里炎真~
「日直が消し忘れていたら、毎時間黒板消したり、ゴミがあふれていたら必ずさんが捨てにいってくれてたり、教室の床が汚かったら、皆が帰った後掃除してくれてたり…」
よく見てるなあ、他人のこと。
『たまたま目についてやるのが私なだけだよ。掃除当番とか、無いからねうちのクラスは。気づいた人がすればいい』
「見返りも気にせず、みんなの嫌がることを率先してやるところ…すごいと思う。」
『はは…ありがとう。』
「そんな、一生懸命なところが、僕は………なんだ」
『え?…ごめん、最後の方聞き取れなかった』
「…好きなんだ」
『え…あ、そうなんだ。ありがとう』
びっくりした、いきなり好きだなんていうから。
「…いつの間にか、目で追うようになってた。
どんなジャンルの本を読むのかとか、実は漫画も読んでいたり、ノートにうさぎとか書いて吹き出しつけたり」
『…あの、…それって、その』
小さく頷いた古里君の顔は、耳まで赤かった。
「いきなり付き合ってくれだなんて言わない。だから…厚かましいと思われるかもしれないけど…友達になってくれないかな」
…友だちなんて、このさい作るもんかとおもってたけど。
あまりにも真剣な表情だったから、思わず頷いた。
「…よかったぁ。絶対引かれてると思ってたから。」
照れくさそうに、でも嬉しそうな表情。
「そうだ…LINEとか、やってる…?」
『あ、うん、登録はしてるけど一度も使ったことないからやり方わかんないんだけどね…』
「それじゃ、僕が友だち第一号だね。携帯、借りてもいい…?」
『?うん』
十数秒後、
「はい。これでお互い友達追加したから…いつでも、何でも連絡してね。」
携帯の画面には、さきほどまでなかった「友だち1」の表記。
「…冬休みが明けたら、お勧めの漫画、貸してくれないかな。」
『いいけど…少女マンガばっかりだよ?』
「それでもいいんだ。好きな人の好きなものを知りたいと思うのは当然なことだと思うから…」
その瞬間、漫画のイケメンキャラ以外で初めてきゅんとときめいたのは、内緒。