第6章 まずはお友達から。~古里炎真~
『働いてる以上当然です』
「中学生にしてはしっかりしてるねえ。動きもいいし。高校生になったらうちでバイトしなよ。ちょうど就職で一気に辞めちゃうし。毎日余ったケーキ持ち帰り放題だよ」
『考えておきます。』
「おじさんは大歓迎だからね。
それじゃ、朝からこんな時間までありがとう。ケーキは好きなだけ持って帰っていいから。
おじさんは今から後片付けがあるから、仕事にもどるけど…服はラックに入れてて。
気をつけて帰るんだよ。姉さんによろしく言っておいて」
『ありがとう、おじさん』
お言葉に甘えて、ケーキを2箱分詰めて、閉め作業中のおじさんとお姉さんに挨拶をして、扉を開けた。
『さっ…ぶい…』
半日振りの外はマフラー2重巻、手袋、ニット帽、ムートンブーツという完全防備でも身震いがするほどで、雪が降ってないのが幸いだった。
外はカップルばっかだろうし、昨日の残りのサラダとチキンとミートパスタを温めて、インスタントのポタージュとケーキでクリぼっちディナーといきますか。
「おつかれさま。」
『っ!?』
声のする方へ、おそるおそる向く。
すみっこにしゃがむ人。
『…古里くん!?びっくりしたぁ、不審者かと思った』
「…ごめんね、驚かせるつもりはなかったんだけど…」
『何してるの、こんなところで、外寒いのに。それもトランプの罰ゲーム?』
「えーっと…引かないでね。…待ってたんだ,さんを」
…ちょっと待って、え?約束とか、してなかったよね…?
『…いつから待ってたの?』
「…15分くらい。」
15分前って…お店の閉店時間だ。
『さっき言ってくれれば弾丸で出たのに。』
「いいんだ、僕が勝手に待ってただけだし…気を遣わせたくなかったし」
『だからってこんなところで待たなくても…』
「…さん、すぐ家に帰るの?」
『え…うん』
「送らせてくれないかな。あるきながら話がしたいんだ」
『あ、うん、別にいいんだけど…古里くんどこ方面?公園で座ってでも、』
「そうじゃなくて…夜だから。危ないでしょ…女子だし・・・かわいい、し」
『あ・・・。えと、なんかありがとう。それじゃ、お願いしようかな』
お世辞でもかわいいなんて、いつぶりだろう。
「僕じゃ頼りないだろうけど…」
自分から言っておいて?(笑)