第6章 まずはお友達から。~古里炎真~
お姉さん優しい。
こんなお姉ちゃんホスィ。
何故うちは一人っ子なんだ。
そして、夕暮れとともに、店内は大忙し。
店の外まで列ができた。
どんなに忙しくても、あわててミスするよりはマシだと、ゆっくり、確実に業務をこなしていく。
『お待たせしました、お次お待ちのお客様…あ。』
「…え…さん?」
まさかのお隣さんの古里くん。
って、考えてみれば並盛一の洋菓子店なんだから知り合いの一人や二人来てもおかしくない…
けど。
よりによってクラスメイトかー。
「…なんでさんが働いてるの?」
『ここの店長が親戚のおじさんで、一日だけお手伝いしてるんだ。』
「ああ…忙しいもんね、クリスマスだから。」
『だから、お願い、秘密にしててくれないかな。とくに風紀委員会に知られたら、どんな理由であろうと怒られそうだし。』
「…言わないよ。言っても何の得にもならないし、それに…」
あ、また。
最後の方、声が小さすぎて聞こえなかった。
それに、心なしか顔が赤い。
『それに?』
「…ううん、気にしないで。」
?
『…あっ』
いけない。
今仕事中。
しかも長蛇の列。
話してる場合じゃなかった!
『こ、古里くん!ご注文はっ?』
「…あっ…ごめん、これ…取りに、」
予約引換券。
『えーと…これだね、チョコレートケーキ!…二つ持てる?』
「あ、うん多分…」
古里くん、多分じゃダメだよ。
『誰か連れてきたら良かったのに。沢田くんとかさ。』
「…トランプで負けたひとがおつかいに行くことになってるから。…あっ」
『両手塞がってちゃ危ないよ。』
「…忙しいのに、」
『古里くんも大事なお客様だもん。それに、だいぶおちついてきてるし。帰り道、気をつけてね。』
「…うん。…何時までお仕事なの?」
『閉店までだから、7時半かな。どうして?』
「あ…いや、別に、大変だなって。…頑張って。」
『ありがとう。
御来店、ありがとうございましたー。』
19:30。
「お疲れ様。ありがとう」
『いえいえ、大したことしてないですけど…』
「そんなことないよ、すごく助かった。
はいこれ今日のお給料。」
『ありがとうございます』
「そんな、おじさん相手に敬語なんて」