第3章 お忍びデート
会場となるステージには、リハーサル中の調教師さんがいて、
大勢の観客が始まるのを今か今かと待っていた。
「遅かったか〜」
ステージ上に設置された巨大モニターを観ながら大野さんは呟いた。
「翔くんがどうしても見せたかったんだって。
俺のせいで遅くなったけど…」
そこには、テレビの特集に釣られた私が行きたいと翔くんにねだった光景が。
開幕して間もないというのに、観客の熱気はクライマックスのよう。
「私が、無理を言ったから…」
翔くんは、最後の最後までスケジュールを調整しようと頑張ってくれたのかな。