第3章 お忍びデート
「ん」
ずいっと差し出されたのは、メッセージのやり取り。
相手は翔くんで、大野さんへの頼み事から始まっていた。
「い、いいんですか、見て…」
ひとの携帯電話を見ることもそうだけど、
ましてや大人気アイドル。
私なんかが見ていいものなのか。
「……」
翔くんにしては、打ち間違いが目立つ。
きっちりとした翔くんだから、誤字脱字を見直してから改行まで確認して送るはずなのに、
この文章は乱雑で、所々間違えている。
漢字変換ができていなかったりと、普段の翔くんなら有り得ない。
「慌ててたんだよ、きっと」