第3章 お忍びデート
「!?!?」
驚く瞬間、その人は私の口を手のひらで抑え、
「しーっ」
もがもがと抵抗する私に大野さんは続ける。
「翔くんからメールきて、彼女をひとりにしたとか何とかで」
「わ、私のこと知ってるんですか⁉︎」
「うん、今さっき翔くんに彼女いること知ったよ。
かなり驚いたね」
大野さんのリアクションは薄い…というか、本当にびっくりしました?と聞きたくなるような。
「俺は仕事で近くにいたから、 様子見てきてって」
「翔くんが言ったんですか?」
どうやら大野さんは、翔くんに頼まれて私を探しに来たらしい。
「ところで、何で私が分かったんですか?」