第11章 五里霧中
カカシ上忍の恋バナを聞かされてから数日後。
さゆは本当に1人で任務に出るようになった。
まぁ上忍ともなれば1人での任務なんてザラにあるわけだが上がったばっかの新米上忍がバリバリのsランク任務を1人で済ましてくるのはそう聞かない、
報告書の受付といえば「今日もさゆちゃんいないの?」としょっちゅう聞かれ参っているらしい。
一度だけ、任務から帰ってきたあいつを見たが、任務中は暗部とはまた違った面を着けて気配を消しているため、面を取るまで誰だかわからなかった。実際上忍でもその姿を知っている者は少ないようだ。
「最近さゆちゃん見かけないよなー」
隣を歩くライドウがポソリと呟く。
さっきすれ違った面の奴がそうだぞと言ってやりたくなるが、もしかしたら他人に知られたくないのかもしれないと思い口をつぐんだ。
『お前が気になってるみたいだから。』
あの日のカカシ上忍との会話所為で、最近変にさゆを意識するようになってしまった。あの人は俺のどこをどう見てそう思ったのだろうか…
そう言いながらも、後ろから近づくこの気配をすぐさゆだと気づいてしまうのは自分でもちょっとアレなんかじゃないかと思う。
「あ、さゆちゃん。」
足音に振り返ったライドウが嬉しそうな声を出した。
「こんにちは。お久しぶりです。」
久々に聞いたその声にも無駄に意識してしまう。
「…久しぶりだな。」
自分だけ何も言わずに去るのも不自然かと思い、振り返って声をかけると、さゆが少し驚いたようにこちらを見てきた。
俺、何か変なところでもあったか?
声も表情も普段通りだったはず。
考えれば考えるほどわからないし余計に意識してしまって落ち着かない。
カカシ上忍め…覚えてろよ…