第10章 カミングアウト
「これで声をかけた者は皆揃ったかの。」
カカシ上忍が言っていたように、その日、火影室には数名の上忍と特別上忍が集められていた。
机に向かうように、一列に呼び出された者たちが並び、机の両サイドにはさゆとカカシ上忍が立っている。三代目は机に座りながらこちらを端から見渡すと再び口を開いた。
「さゆ、もうみなとは顔合わせはすんでいるのだな?」
「はい。先日。」
「うむ。みな、突然上忍として現れたさゆのことにいくつか疑問を持っているだろう。これから、さゆにも本格的な上忍任務についてもらう。それにあたって2つほど知っておいてほしいことがあるのだ。」
三代目がそこまで言うとさゆがスッと手をあげる。
「火影様、そこから先は私に説明させてください。」
そう言ったさゆと視線を交わすと三代目が手でどうぞと促す。さゆは「ありがとうございます。」というとこちらへ向き直った。
「ではまず1つ目。私には下忍の時から里の外で任務をすると私の班員が殉職するというジンクスがあります。馬鹿らしいと思われるかもしれないけれど本当のことです。なのでこの先、私は基本的に任務は1人で受け持ちます。途中合流をすることがあってもチームとして動くことはないのでそのつもりで。」
誰もが口を紡ぎ話を聞く中、アスマがカカシ上忍に「本当なのか」と目配せをすると小さく頷いた。
おいおいマジか…
カカシ上忍とさゆの繋がりが深いのはここにいる全員が認知している。こんなところで冗談をかますような人でもない。
「今まで1人だけ、私と組んで生還していた人がいます。」
その様子を見ていたさゆが再び口を開き、全員がそちらへ顔を向ける。
「うちはイタチです。私が暗部に所属していた間。私と唯一組んでいたのが彼です。」
瞬間、部屋にピリッとした空気が流れる。
なるほどな。
うちはサスケとさゆの繋がりはここから来たわけだ。