第9章 新しい生活
「カカシ上忍と知り合いなのか?」
「え?ええ、まぁ…」
声をかけられて顔を上げると見たことがあるようなないような顔がある。
額あての巻き方が独特なのに覚えてないからよっぽど忙しい時に見たいのかな。
「えーっと…どちら様でしたっけ?」
「覚えてないのかよ。なんか恥ずかしいじゃねぇか。」
頭をかき、ため息をつきながら報告書を渡してくる。
なんか見たことあるんだよなぁ。
あっ……
「……もしかして、火影様のところで…?」
「そうだ。思い出したか失礼女。」
机に手を置き身を乗り出してくる。
口元は笑っているようだが目は冷ややかなものだった。
「その節はどうも失礼しました。先日からこちらで受付をさせて頂いてます。高澤さゆです。」
こういう相手はあんまり関わらない方が良いな。
営業スマイルを浮かべ報告書を渡す。
「ここ、記入漏れありますね。再提出お願いします。」
「なかなか良い性格してるな。」
「いや、今はこれが仕事なので…」
「俺は不知火ゲンマだ。」
いや報告書の名前見ればわかるし。
書き直してくるからペンを貸してくれと言われたので渡す。あーなんか面倒くさそうな人と知り合ってしまった。
本当こんなところで何しているんだろうか。
ため息をつくと書類を書き直してきた不知火ゲンマが再びやってきた。
「今度は大丈夫ですね、ありがとうございます。」
「…ああ。」
なんだろう今の間。
営業スマイルの事なら条件反射のようなものなのでつっこまないでほしいなと思っていたらそのまま去って行ったのでホッとした。
しばらくすると昼休みを告げるチャイムが鳴り響く。
カカシさんに会おうと思ったけどそういえば場所を決めていなかったな…
仕方なく意識を集中させる。
「げっ…」
感知したカカシさんがいるところは上忍待機室だ。