第8章 決起
俺の姿を見つけた姉さんは膝から崩れ落ちてすがるようなりながら「よかった…」と繰り返していた。
『己の器を図るため』
そう言った兄さんの、うちはイタチの言う事はイマイチ理解できていない。
いや、理解する必要すらない。
重要なのはそこではないからだ。
あいつが言ったように、俺はあいつを憎んで生きよう。
そしていつか一族の仇を討つ。
家に戻り、姉さんにその事を告げた。
姉さんを傷つけたいわけではない。けれどこの気持ちを伝えないわけにはいかない。
俺と姉さんでは立場が違う。
きっと今の心境も俺とは違うだろう。
だからこそ、姉さんには俺の今の気持ちを理解していてもらいたかった。
きっと酷く悲しむだろうと思った。
でも、姉さんは「そっか。」と少し悲しそうに笑うとまた俺を抱きしめるだけだった。
暖かい。
目をつむり鼓動を聞いていると、少し穏やかな気持ちになってきたが、不意に母さんを思い出して目の奥が熱くなった。