第8章 決起
「何これ……」
入り口には立ち入り禁止のテープ。
それに血の匂い……
テープをくぐり中に入ると中はもぬけの殻となっていた。ほぼ一撃で人殺されたであろう血の跡があちらこちらに残っている。
何これ…
頭が真っ白になりながら歩いていると人影が見えた。思わず駆け寄る。
向こうもこちらに気づいたようでバッと振り返る。
「サスケくん…?」
「…姉さん……」
振り返ったときのサスケくんは生存者がいたと思ったのだろう。一瞬すがるような笑顔を見せたがすぐに表情を曇らせてしまった。だんだんと彼の目が潤んでいく。
駆け寄り抱きしめる。
「サスケくん…いったい何が…」
「……兄…さんが…兄さんが…みんなを…」
自分の耳を疑った。
みんなってまさか一族全員?
いやそれよりも、
「イタチくんが……『コレ』を……?」
サスケくんは押し殺すように泣きながら自分の腕の中で小さく頷いた。
顔を上げあたりをもう一度見る。
午前中とは思えないくらい沈んで見える空。
重い空気の町並み。
そこらに漂う血の匂い。
コレを、あの優しいイタチくんが…?