第8章 決起
こんな日でも月は美しい。
己の手は既に血で汚れていた。
いまさっき、同胞をこの手にかけてきたところだ。
「サスケのこと、頼みます。」
「ああ。こんな結果になってしまって本当にすまない…。」
三代目が俺に頭をさげる。
三代目がどう動いたところで結果は変わらなかっただろう。
「さゆさんはきっと詮索してくると思います。あの人は俺の異変に気付いていましたから…。ただ、何を聞かれても答えないでください。」
「お前は本当にそれで良いのか…?」
「はい。彼女を里の、うちはの闇に触れさせたくないんです。その為にわざわざ任務に出てもらったんですから。」
三代目は眉間にしわを寄せながらも「分かった」と言ってくれた。
「俺のあとを追うと言いだしても、最低でも2年は里にとどまらせてください。サスケのそばにいてもらいたいんです。」
「……分かった。」
そう言いながら静かに目を伏せる三代目に深めにお辞儀をする。
「では。俺は行きます。」
そう言い残し床を蹴った。
屋根をつたい、里の外へとむかう。
さらばだ木の葉よ。
はじめの1人を殺した時から俺の夢は死んだ。
選んだ道は間違っているのかもしれない。これから先、この里を見守るのも容易くはないだろう。
それでも………
なぁ、シスイ。
俺なりの方法で、大切な人達を守る事を改めてここに誓わせてくれ。