第6章 君の隣
体を起き上がらせようとすると布団が引っ張られる感覚があった。
その方を見るとカカシさんが眠っている。
ずっとついていてくれたんだろうか。
カカシさんの体にはいくつか小さな傷がある。
そっと頭を撫でるが起きる気配はない。
自分も任務で疲れているだろうにすぐに駆けつけてきてくれたのだろう。じんわりとした愛しさを感じ胸が熱くなる。
そこでハッとした。
「イタチくんは……?!!」
見渡すが姿はない。
あの時、イタチくんに幻術をかけられて眠ってしまった。
その自分がここにいるということは、ここまで運んできたのは……
「さゆ…?」
「あ、ごめんなさい、起こしちゃいました?」
次の瞬間には力一杯に抱きしめられていた。
「さゆ…!さゆ!よかった!よかった…!」
「カカシさん…!痛い…」
ああ、ごめんというと力を緩め、頭を撫でてくる。
「さゆ、とにかく無事でよかった。火影様を呼んでくるから、少し待っててくれ。」
「えっあ…!」
カカシさんは次の瞬間には姿を消していた。
イタチくんの生存を確認したかったのに…
窓の外を眺めているとドアから入ってくる気配を感じる。
「カカシさん、早かっ………」
そこにいたのはカカシさんでも看護婦でもなくうちはイタチだった。
「生きてた……」
「ええ。文書も持ち帰り、今さっき報告書も出してきました。」
彼の姿がぼやける。
気づくと涙が目からぽろぽろとこぼれ落ちていた。