第2章 ことのはじまり
さゆが新しい班についてから会う機会がめっきり減ってしまった。
前は自分の任務がないときはほとんどさゆの修行に付き合っていたせいか喪失感が大きい。
前は修行が終わってから交代でご飯を作りあったりもしていたのに……。
誰かが家にいる、1人ではないという感覚。長い間忘れていた感覚。家族を思い出させてくれるさゆの存在は思っていた以上に俺の中で大きかったらしい。そう気づくと不安が押し寄せてきた。もしまた何かのトラブルに巻き込まれたら?そしてもし命を落としてしまったら…
幸いまだ里内でのDランク任務だけらしい。
でもいつかはまた外の任務にもつく。担当するランクもどんどん上がっていくだろう。さゆ自体が優秀な上にメンバーも割と成績は良い方らしいからなおさらだ。
「カカシさんーーー!」
久しぶりに聞くさゆの声。
段々と胸が熱くなる。
声のする方へと駆け出した。
「お久しぶりです!!」
「うん…。調子はどう?」
「良好です!まぁまだ簡単な任務しかしてないからかもだけど…班員のみんなも優しいし!」
頭を撫でると嬉しそうに笑って話してくれる。
つられて自分も微笑んでしまう。
この子は俺が守ろう。
大切な人を失うなんてもうたくさんだ。