第12章 小休憩
午前11時。
待機室で横に座るアオバがチラチラとこちらを見てくる。
「ゲンマなんか今日……なんか…」
「なんだよ…」
「なんかなー…」
「なんかですよねー」
「だからなんだよ…」
お茶を入れて戻ってきたライドウとさゆがアオバと顔を見合わせて今度は3人で俺へと目を向けてくる。
「なんなんだよさっきから…!」
「いやーなんていうか」
「機嫌いいのか悪いのかわからない感じ?」
「普通ではないんですよね〜」
「あ…?」
「ほらその態度。かと思えばお菓子くれたり…」
なんかあったんですか?と覗き込むその顔に昨日の夢がチラついて、すぐに顔をそらした。
「別になんでもねぇ……」
「よぉお前ら!!相変わらず仲良いな!青春してるかぁー!!!」
「わぁっ!」「うおっ」
さゆと話をしている中にとつぜん暑苦しい声が聞こえたかと思えば暑苦しいひとが暑苦しくさゆとライドウの肩に手を回していた。
「ガイさん?久しぶりですね」
「ああ!さゆとはほとんどすれ違いだからな!それはそうと今日もお前は輝いてるな!」
暑苦しいその人はサラリとそんなことを言う。
というか近くないか?俺だってさゆにそんな風に腕を回したことはないんだが。
「ちょっとガイさん!2人潰れるんで話してあげてください。」
「おぅ!スマンスマン!」
アオバの声でその暑苦しい腕から解放された2人はゲホゲホと軽く咳き込む。
「というわけで久々に会ったんだ!今日は非番だろ?昼飯でも食いに行こうじゃないか!」
今日はカカシもいないしな!と親指を立てるガイさんは今さっき離した筈のその腕を再びさゆの肩に回していた。
元々、俺の機嫌は悪くはなかった。たださゆの夢がチラついて仕方ないため、自分の気持ちを考えていただけだ。
だが、今は別だ。
「こいつ昼は1人暮らしの俺のメニュー相談に付き合うんでダメです。」
気付いたら体が動いていた。