第11章 五里霧中
ゲンマさんの手は少しひやりとしていたが、その手は大きくて、私を見る目はまっすぐとしていて優しかった。
『お前はちゃんと、自分で答えを探すといい。』
まさかこんな言葉をこの人からかけられるとは思わなかった。
だからだろうか。
一度溢れた涙は止まる気配がなくて、それでも、この人の前なら、今ならこの気持ちを晒してもいいと思った。
私を見ていてくれる人がいる。
私の選ぶ答えを、それまでの気持ちを、きちんと見ると言ってくれた。
それがどんなに嬉しいことか。
もし、イタチくんや私が木の葉の敵になるようになったとき、カカシさんもゲンマさんも、木の葉の忍として動くのだろう。
そうだとしても
今、私のことを見ていてくれる。
私の答えを聞いてくれる。
ならば私は私なりの答えを出そうと、強く思えた。
まずはきたる2年後。
イタチくんを探しに行くその日まで、私にできることは何だってしよう。
再び会ったとき、貴方のどんな気持ちも受け止められる様に、心身ともに強くなれるように頑張るから…
あの日、あの夜
ずっと闇の中にいた私の光になってくれた貴方のために
私を見ていてくれる人たちのために
私自身のために
「ゲンマさん」
頬に触れる手をそっと自分の前に持ってきて両手でしっかりと握る。
「イタチくんに会えるまで、私にできることを精一杯頑張ります。だから見ててください。私のこと、私の気持ち、受け入れなくていい、理解しなくていいから、見ててください。」
まっすぐと目を見つめると、合さる視線は少し驚いた後ふわっと和らいだ。