青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第7章 確信した
IHまで一か月を切った。
と言うことは、夏休みはもうすぐ目の前にある。
だが、残念なことに私たちバスケ部には、「わーい。夏休みだー」なんて喜ぶ余裕などない。
特に私と紫原には。
最初の勝負が、もう目前にまで迫っているのだ。
そんなある日。
「ちょっといいかな?」
午後の授業が苦手な英語と疲れる体育で、すっかり体力を使い果たした私は、うまーく監視役の劉の目を掻い潜り、一人裏門から帰ろうとしていた。
そこへ見知らぬ一人の男の人に声を掛けられた。
「私?」
「君しかいないだろう?」
確かに、わざわざ寮まで遠回りになる裏門から帰ろうとする人間なんざ私しかいない。
お陰様で、周りには私とその人だけだった。
「…何?」
私は声を掛けたその人を訝しげに見た。