青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第6章 神様って
「で?どこがわかんないワケ?」
日本史の問題集を端に寄せて、現代文の教科書を取り出した劉に私は問いかける。
まぁ…間違いなく漢字は読めてるんだろうから、慣用句とか諺とかの日本特有の言い回しが分かってないんだろうけど。
「全部アル」
あら。これは予想外でしたわ。
「んー…現代文の先生は緩いし、追試も同じ問題を出すって言ってたから、テストを見直したらどうにかなるでしょ」
テストを見せて。と私が手を出せば、劉はつい先日返ってきたばかりの答案用紙を差し出した。
それを見た私は、絶句。
「劉…」
「何アル」
「何で漢字を中国語で書いたの?」
中国の漢字と日本の漢字が少し異なる表記をすることは知っている。
だから、中国で生まれ育った劉が、日本の漢字を書くのが苦手なのも知ってる。
だが、ここは日本であり、これは日本語のテストだ。
「思い出せなかったアル」
日本の先生は厳しいアル…。と小さく呟く劉。
いや、何度も言うが、ここは日本だ。
書きたいことは分かってて、それが正解だろうが、中国表記されては先生だって困る。
「とりあえず、間違ってた漢字の書き取りからやろっか」
劉に日本表記の漢字の書き取りをさせて、次に私はアゴリラの方を見た。
雅子ちゃんは「二人の勉強を」と言われたが、私は二年でアゴリラは三年。
国語や英語(苦手だけど)などの文系教科であれば、どうにかなったかもしれない。