青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第6章 神様って
「腹の立つ気持ちもわかるがな…」
「だってムカつくんですもん!」
「はぁ…では今日は…」
「帰っていいの?!」
「んなわけあるか。阿呆」
ちぇ。
私は振り上げられた竹刀をすっと避けながら、口を尖らせた。
「で?今日は、何ですか」
帰らせるつもりは毛ほどもないことは分かったし、この後私に仕事を言いつけようとしていることも十分分かった。
口を尖らせたまま、私は雅子ちゃんに問いかけた。
「あの馬鹿二人の勉強を見てやってくれ」
…は?
今、なんと…?
「あのですね、監督。別に追試になってないからって、私は頭良くないんですよ?しかも劉ならまだしも、アゴ…岡村さんは学年も違いますからね?分かってます?」
「それは知っている。だが、今見てやれるのは枝尾だけだ」
「監督が見ればいいじゃないですか」
「私は体育以外はからっきしだからな」
口元を緩ませながら言うが、それでいいのか。雅子ちゃんよ。
だが、雅子ちゃんの命令。
言われてしまえば従うしかない。
逆らえば、雅子ちゃんの愛刀の餌食だ。
仕方なく、私はドリンクの作り足しを終わらせてから、ステージに上がった。
「劉ー。捗ってるー?」
「全くアル」
「だと思いましたよ」
少々呆れ気味に私は言った。