青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第5章 寂しそう
そう考えていると、劉は首を横に振った。
「違うアル」
「へ?違うの?」
え、今完全にそういうのかと思ってたわ。
「いつかワタシが置いて行かないといけなくなるアル」
「…日本に?」
劉はコクンと頷いた。
私は、一瞬キョトンとした顔をして、ハッと我に返る。
「え!?劉、彼女いたの!?」
「は?」
「いや、だって…今そんな風に」
何を言っているんだ。とでも言いたげな劉は、「はぁ…」と呆れたように溜め息をついた。
え?何で?
いつか置いてかなきゃいけないって…つまりそう言うことでしょ?
「彼女なんていないアル」
「あれ?そーなの?」
「そうアル。鈴佳も知ってるはずアル」
「そうだけど…じゃあ、今のどーゆー意味?」
一体何に対して劉はこんなに切ない顔をしているのか。
私が問いかけてはみるが、劉はまたあの寂しそうな笑みを見せるだけで、教えてはくれなかった。
「鈴佳は知らなくていいアル」
「は?」
「おー劉に鈴佳。残って勉強会か?」
劉の言葉を理解できずに首を傾げていると、よく聞きなれた声がした。