青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第5章 寂しそう
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それから間もなくしてのこと。
私たちバスケ部は十日間の間、部活停止となった。
理由は…期末考査だ。
「劉ー。英語教えてー」
「何でワタシに聞くアル」
「だって私の母国語は日本語だし」
「ワタシだって中国語アル。英語じゃないアル」
放課後、私と劉は教室に残って勉強会。
私は、国語は得意だが、英語は大の苦手。
毎回、赤点ギリギリもいいとこだ。
つまり、大変困っている。
「それより鈴佳。国語教えて欲しいアル」
「んー。どっち?現代文?古典?」
「どっちもアル」
ちなみに劉は数学が得意で、苦手は国語。
なんとも中国人留学生らしい。
「とりあえず現代文の先生は緩いし、古典からやっておこうか」
私は古典の教科書を取り出し、テスト範囲のページを確認しながら開く。
今回のテスト範囲は、古文『源氏物語』と漢文『孟子』。
「漢文は…大丈夫でしょ?」
「読めないこともないアル」
「読めないこともって…まあいいや。源氏物語読もうか」
私は古文文法の参考書と電子辞書を一緒に開き、劉に一つ一つ物語の解説をした。