青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第5章 寂しそう
そんな二人を置いといて、私と福井ちゃんはいまだ睨み合ったまま。
「もう…福井も鈴佳も止めるアル」
仕方なく、といった様に劉は溜め息をつきながら私たちの間に入った。
「だって、福井ちゃんが私の髪をグシャグシャにしたのが悪いんだよ?」
「鈴佳の頭が低い位置にあんのが悪いんだろ」
「だから、たかが8cmだって!」
「わかったアル。わかったから、その辺にしろアル」
もうっ。
福井ちゃんが毎回こんなことをしなければ、劉が私の世話をすることもなくなるのにさ。
私だって、こんなおっきなお世話係嫌だし。
そもそも劉が私のお世話してるんじゃなくて、私が劉のお世話係でしょ。
「なんだよ、劉。妬いてんのか?」
「は?!」
福井ちゃんは、先程までの顔はどこへ行ったのか、止めに入った劉にニヤニヤした意地悪な顔を見せながら言う。
「誰も鈴佳取らねーから。そう怒んなって!」
「鈴佳!福井を潰すアル!!」
「りょーかい」
何のことかは分からないけど。
寮に着くまでの間、私たちの追いかけっこが始まった。