青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第3章 キライだ
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入学式の今日は、式典に参加する者以外は自由登校。
だが、体育館競技…それも式典で使われている体育館が、私たちバスケ部が使用しているもの。
と言うこともあって、私は朝からHRを受け、入学式の最終準備(それも二年生だけ)。
それからは自由なのだが、どうせこの後も片づけと練習が待っている。
面倒だし、帰ろうか。とでも思ったが、監視役の劉に教室まで引きずり戻された。
「よぉ。劉と鈴佳」
「なんじゃ枝尾。今日は来てたのか。偉いのぉ」
入学式もそろそろ終わるだろう、という頃。
教室へ入ってきたのは、我らがバスケ部主将のゴリ…じゃなかった岡村さんと副主将の福井ちゃん。
「…いつからここは動物園になったんだよ。檻の中に帰れ」
「んなっ!?」
「帰るアル」
「オイ!!」
私と劉がそう言えば、見た目にそぐわず硝子の心のゴリラは、シクシクと鳴き始め……あ、泣き始める。
「お前らそこまでにしといてやれ。いくらこいつがゴリラでも、声に出さないのが人間である俺らの優しさってモンだろ」
「んがぁ?!」
流石は福井ちゃん。
よくわかってらっしゃる。
「はぁ…んで?先輩方はわざわざ教室まで何の用なんでしょうか?」
大体の察しの付いている私は、面倒臭そうに二人を見やった。