青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第5章 寂しそう
私はまたもや一つ溜め息を漏らし、もう一つの用事を思い出した。
「あ、そうそう。そっち、秀徳と正邦も負けたんでしょ?誠凛に。それは何で?」
今回、私が聞きたかったのはこっちの質問。
真の試合結果は正直どうでもいい。
どうせ、今回は何人潰した。とかそんな話しかないんだから。
『誠凛な…一年にすげぇのが居るらしいぜ?』
俺はまだ見てないけど。と真は付け加えた。
「それって、名字に『黒』が付く子?」
『あ?ちげぇよ、馬鹿。何だったかな……火神とか言う名前じゃなかったか?』
「は?火神?黒じゃないわけ?」
『ちげぇよ』
はあ?何それ。紫原が嘘ついたってこと?
あの紫原が?わざわざ?何のために?
『もういいか?鈴佳と違って、俺は忙しんだよ』
「嘘つけ。…ま、いいや。私も部活行かなきゃだし」
『ふはっお前真面目に部活行くようになったんだな』
「失礼だな。笑うな」
ケラケラ…と言うよりブハッと言ったように笑う真に、少しながら苛々しながらも、私は短く「じゃあ」とだけ言って、電話を切った。
「結局役に立たないじゃん」
都心から遠く離れたこの地では、どうしても情報が遅くなってしまう。
ましてや私は情報収集が得意なわけでもない。
もし。
こんな時に桃井みたいな能力があったら……。
「はぁ…嘆いても何にもならないか…」
今更、わかってたこと。
私は頭の中に浮かんだことをかき消すように、頭をブンブンと振ってから、体育館へ向かった。