青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第5章 寂しそう
「ねぇ、悪童さん?」
私が電話した相手は、『無冠の五将 悪童・花宮真』。
コイツは兎に角ゲスイ。
何を持ってしても、どう説明しようがゲスイ。
『よく言うぜ。鈴佳だって女王だろ?』
「そんな肩書も今じゃただの皮肉だけどね」
『確かにな…で?その女王様が、俺に何の用だよ』
「何、その冷たい言い方。私たち仲良しじゃん」
『ばぁか』
性格が曲がりに曲がりくねった、超絶捻くれ者。
実のところ、去年鉄平が膝を故障したのは、コイツのせい。
コイツ本人から聞いた。しかも笑いながら。
はぁ…と去年のことを思い出しては溜め息をついた。
「真、IH予選負けたんでしょ?何で?」
真がいるのは霧崎第一高校。
特別強豪、と言うわけでもないが、あの『無冠の五将』の真が居るのだ。
にもかかわらず、霧崎第一は、いまだIHもWCも東京予選決勝リーグにすら出場できていない。
私にはその理由が全く持ってわからない。
すると、真は声のトーンを低くして暗い声で言った。
『それだけどな…やっぱ俺には才能がねーのかもしれねーな…』
「真…」
『なんて言うワケねーだろ、ばぁか!』
「……」