青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第5章 寂しそう
私たちは全く意味が分からない。と言った風に紫原を見るが、当の本人は「もう部室入っていーい?」なんて言いながら、戸惑う私たちを残して部室の中へ消えていった。
仕方ないし、こうしているうちにも練習開始の時間が迫っているので、三人は部室に、私はマネージャー室へそれぞれ入っていった。
「(帝光だけど『キセキの世代』じゃない…でも、凄い人…)」
何か引っかかるモノを感じながら、私は着替える。
「あ、そーだ」
東京には結構バスケ関係の知り合いがいる。
今、福井ちゃんから聞いた決勝リーグのことも聞きたいし…と私は制服のポケットから携帯を取り出した。
『…はい』
電話帳の中から、中学時代に他校だったけど結構仲の良かったソイツの名前を引っ張り出し、通話ボタンを押した。
案外電話に出るのが早かったソイツは、いつもながらに不機嫌そうな声。
「ちょっとぉ…私にも猫被りなさいよ」
『ふはっお前に猫被る必要なんかねーだろ』
「同じ境遇に置かれた仲間じゃん」
ホント、相変わらずな奴。
ふふっと私は小さく笑った。