青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第5章 寂しそう
大概、その三校が東京代表として全国大会に上がってくるのだが、今回は上れても一校だけ。
一体何が起こっているのか。
「正邦と秀徳は誠凛に負けたんだよー?」
「なんだ。アツシは知ってたのか」
「うん。ミドチンに聞いたー」
「誰だよ」
ここで紫原の言う「ミドチン」とは、多分秀徳の緑間のことなんだろう。
「正邦も秀徳も…誠凛に負けた……もしかして鉄平が戻ってきたの?」
私は福井ちゃんに問いかけた。
鉄平…木吉鉄平は私と同じキセキの影に埋もれた、『無冠の五将』の一人。
その鉄平は去年のIH予選で膝を負傷して、一年は復帰できない。と聞いていたのに…。
「いや、木吉はまだ戻ってきてねーらしい」
「は?戻ってきてないの?…じゃあ何で?」
「黒ちんだよ」
鉄平以外の誠凛の選手はほぼ無名だと言っていい。
それにも関わらず、三大王者のうち二校を倒した。
その事実が信じられずに、私が不可解な表情をしていると、紫原が答えた。
「黒ちん?誰アル」
「んー。俺の元チームメイト?」
「帝光ってことか?」
「そーそー」
「黒…黒……んな奴『キセキの世代』にいたか?」
「黒ちんはちょぉっと違うんだよねー。でも凄いんだよー?」
「はあ?」
俺の元チームメイト、ってことは確実に帝光出身。
それも、あの紫原が覚えてるだけでなく、認めているような発言。
それでいて『キセキの世代』じゃないって…どういうこと?