青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第5章 寂しそう
利き手が右な上に私は学生。
いくら捻挫しているとは言え、日常生活を送るにあたって、利き手はどうしても使わなくてはならない。
それ故、なかなか治りが遅いのだ。
それに、気を引き締めろと言われたって、なんせこの顔だ。
我ながら痛々しすぎて、気なんか引き締められない。
「枝尾は何しても死なんじゃろ」
「オイ、アゴリラ。どーゆー意味」
「そのままの意味だろ。憎まれっ子世に憚るって言うしな」
「オイ、コラ。福井ちゃん」
仮にも痛々しい女の子を目の前にして、こんなことを言うのは、うちの部の…特にこの三人だけだろう。
あの時は、結構心配してくれてたのに。
「枝ちーん。お菓子持ってなーい?今日の分なくなっちゃったー」
あ、ここにもいた。私を心配しない奴。
「飴玉しか持ってない」
「それでいいよー」
「はいはい。どーぞ」
だけど…ある意味。
こんな平和な日常が一番平和だったりするのかもしれない。