青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第4章 痛いほど
劉に支えてもらいながら、私は立ち上がる。
「アンタが…ここで、問題…起こせば……試合、出れ…なくな…っちゃ…」
「枝尾、喋るな」
「…それに…この人……かわいそ…」
「枝尾」
雅子ちゃんが止めるのも無視して私は、今にも泣き出しそうな彼を真っ直ぐに見据えた。
この人は私と同じ。
突如現れた天才によって、奪われた側の人間。
「私も…奪われた、から……アイツら、に。全部…奪われた……から…」
だから。
「…アンタの…気持ち。痛い、ほど……よく…わかる…」
わかってしまう。
紫原は私と自分は似てる。なんて言ったが、結局は何も似てなかった。
紫原は才能があった。
頂点に立ち続けてきた。
勝ち続けてきた。
ただ、本当に欲しいものが手に入らなかっただけ。