青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第22章 エピローグ
私が零れそうになる涙を拭っていると、岡村さんは「…ただ」と続けた。
「唯一、心残りなのは、バスケをしていたのに女子にモテなかったことです!」
「へ?」
ここでまさか。という言葉に、氷室は思わず声を漏らしてしまった。
氷室は慌てて口を塞ぎ、私は流れそうになった涙が一瞬にして止まる。
隣の劉からも急速に真剣味が薄れてゆくのを感じ取った。
そんなことを露知らず、岡村さん…もうこの際アゴリラでいいか。
アゴリラは答辞の巻紙を震える手で掴みながら声を張り上げた。
「バスケ部の全国常連校であれば女子にモテるのは確実と聞いていたのに、この三年間でマネージャーの枝尾以外の女子から声を掛けられたことはゼロ!!その枝尾もわしを人間扱いしない!!主将になれば目立ってラブレターを貰えるかと思いきや、全くそんなことは無く!何故か副主将の福井の方がモテる!しかも、アイツはちゃっかり女子から第二ボタンの予約が入っているのに、わしは!わしはぁぁぁ……!」
感極まったアゴリラは、ついに大粒の涙を溢れさせた。
「うぉぉぉぉ、何故じゃぁぁぁ!同じ高校生なのに、甘酸っぱい青春にこんなに差があるのは不公平すぎるわぁぁぁぁ!」
マイクを通して響き渡る涙声。