青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第22章 エピローグ
感銘を受ける答辞。
しかし、突然。
部活について語っていた時に岡村さんの様子が変わった。
言葉を詰まらせ、一度何かを飲み込むように瞳を閉じ、やがて瞼を開けると再び語り始める。
「三年間、目標としていた全国制覇。自分が主将を任されたからには必ず成し遂げようという思いで、最後の一年は己の全てを捧げました。その結果は、夏のIHで三位、冬のWCではベスト8。近年にないベストメンバーと言われながらも果たせなかった現実に、改めて全国制覇という壁の高さを感じさせられました」
その言葉の重さ。
私はよく知っている。
少しだけ私の目に涙が浮かんだ。
岡村さんは、一度言葉を切ってから大きく息を吸い、「ですが、後悔はありません」とハッキリと断じた。
真っ直ぐな岡村さんの言葉に、氷室にも劉の目にも真剣味が増す。
「部員一同で戦い切った結果は、敗北という言葉で終わりを告げたわけではなく、そこから始まるもの、そこから開ける世界があることを教えてくれました。三年間の全てを捧げるだけの価値あるものと出会えたことを幸福に思います」
始まるもの。開ける世界。
本当に…この一年はそれに気づかせてもらえるモノだった。