青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第22章 エピローグ
卒業生代表の答辞が身長順に選ばれるのであれば、来年の私たちの卒業式の答辞は劉になってしまう。
そんなことあって堪るか。
しっかりと正当な審査の元で決めて欲しい。
とは言いつつも、私も全校生徒の前に立つゴリラを見ると、とてつもない不安にかられる。
氷室も授業参観で我が子の発表を見つめる母親に似た、劉に至っては人間社会にウッカリ紛れ込んだことに気づかない類人猿を発見した錯覚にとらわれる心境で、壇上を見つめた。
だが、心配する私たちを余所に、岡村さんは背筋を伸ばして堂々と答辞を読み上げていく。
「威風堂々という感じだね」
今まで極稀にしか見たことのない立派な岡村さんの姿に、感心した氷室が呟く。
「ゴリラも漸く人になる時が来たアルな」
劉も珍しく岡村さんを認める発言をした。
そのことに、私はクスッと笑う。