青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第22章 エピローグ
陽泉高校の卒業式は厳かだ。
広い広い講堂で、ミッション系の高校らしく洋風で宗教じみた様子の式典。
今日。
大変…ホントに大変お世話になった三年生の先輩方は本日、この時をもって陽泉高校を卒業する。
在校生の私たちも勿論参加した。
二年生の私たちは、左から氷室、劉、私の並びで、あの手この手を使って在校生席の最前列を分捕った。
この高身長の集団が最前列であること自体、後方に座る生徒たちにとっては甚だ迷惑な話。
だが、それでも一番近い席から、旅立ってゆく先輩たちを見送りたかった。
「卒業生代表の言葉」
司会を務めていた先生が言う。
壇上に上がってきたのは、バスケ部元主将のアゴ…岡村さん。
岡村さんは、低い位置に設置してあったマイクを、自分の高さに調整する。
「まさか岡村さんが答辞を読むとはね……」
「日本は答辞の担当者を身長順で選ぶアルか?」
バスケ部現主将の氷室が驚きながら呟くと、隣に座っていた現副主将の劉が小声で問いかける。
「まさか。正当な審査の結果選ばれたんだよ……多分」
「そこはハッキリと言いきってやりなよ……」
氷室の歯切りの悪い答えに、私は溜め息交じりで返した。