青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第4章 痛いほど
うっすら目を開けてその声のする方を見ると、劉がこちらに向かって走ってきていた。
「りゅ…っ」
「坂本!!お前、枝尾に何しとんじゃ!!」
劉の後ろから姿が見えたのはアゴリラ。
うん、この状況でも彼をアゴリラなんて呼ぶのはどうかと思うけど…。
アゴリラは私の上に跨る坂本さんの胸倉をつかんで、そのまま私から引き離した。
「ゲホッ……ゲホッゲホッ…」
「鈴佳!大丈夫アルか!?顔が真っ赤アル!」
一気に空気が肺に入り込んだ気持ち悪さに、私は思いっきり咳き込んだ。
劉は慌てて駆け寄り、私の背中を擦ってくれる。
「だい…じょ……ぶ…っ」
掠れ掠れの声で何とか言葉を繋ぐと、劉はホッと胸を撫で下ろし、鋭い目を坂本さんに向けた。
「お前アルな!鈴佳の靴箱に変な手紙を入れたのは!」
…手紙?
「『お前のせいで俺は奪われた』って、自分の弱さを鈴佳のせいにするな!」
劉は怒りを露わにして言った。
私の靴箱…手紙…。
もしかして。
あの時、劉が私から取り上げたラブレター(仮)のこと?