青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第4章 痛いほど
頭の中で今起こってる事態を整理していく内に、左頬はジンジンと痛みを帯びていく。
コイツ…利き手で殴ったな…。
「…何すんのよっ!」
私だって負けてられるか!と思いっきり睨んだが、次の瞬間。
私は馬乗りされ、身動きが全くとれなくなった。
「お前が悪いんだ!お前があんなこと言うから!!やっと…やっとスタメンの座についたのに!!」
そう言いながら、坂本さんは私の顔を殴り続けた。
いや、だから私、女の子なんだって。
顔はダメでしょ、顔は。
「お前だって…『無冠』のくせに!!いっつも偉そうにしやがって!!何が『女王』だ!!ふざけんな!!」
…ああ、この人は…可哀想な人なんだ。
怒りの捌け口がわからないんだね。
どんどん増していく痛みの中、私はそんなことを考えていた。
自分の力で手にしたモノが、いとも簡単に奪われる。
どうしたらいいのか…どうこの苦しみ悲しみから向けだせばいいのかわからないんだ。
「返せよ!俺の高校生活!!俺からバスケを奪うなよ!!!」
「ぅぐ…っ」
殴るのを止めたかと思えば、次は首を絞めてくる。
流石にこれはまずい。
上手く息ができない…意識が……。
「鈴佳っ!!」
遠のき始めた意識の中、誰かが呼ぶ声だけが聞こえた。