青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第21章 側にいて
「…りゅ…う…?」
ゆっくりと離れた温もり。
真っ白になった頭。
私は劉を見上げた。
「ワタシも好きアル。鈴佳のこと…ずっと好きだったアルよ」
照れ臭そうに笑って言う劉。
それを見た私の目には、再びじわじわと涙が浮かんでくる。
「…っ知ってるよ…そんなこと…っずっと前からっ」
劉の気持ちなんて、一年も前から知ってる。
私の気持ちも、それ以上前から知ってる。
ただ。ずっとそれに気づいてないフリをしてきただけ。
「私も…っ劉のことが好き…っ」
「知ってるアル」
人って、嬉しい時でも涙が出るんだ。
今まで、悔しい時や悲しい時くらいしか泣いてこなかったから。
あ…でも、WCからは嬉しい涙ばかりだった気がする…かも。
そんな気持ちに気づかせてくれたのは。
紛れもなく、今目の前に居る劉だ。
私は涙を零しながら、劉に抱き付いた。
それに応えて、劉も優しく私を抱きしめては頭を撫でる。