青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第21章 側にいて
いつもは短く感じる廊下も、今では長く感じるし、階段を下りるのも煩わしい。
すれ違う先生たちには「廊下を走るな!」と怒声を幾度となく受けたが、そんなモノ今は構ってられない。
私は全速力で昇降口まで走った。
「…居な…いっ?!」
昇降口に着いたが、そこに劉の姿は見当たらない。
自分のクラスの靴箱にも、他のクラス他の学年のどこにも劉は居ない。
焦った私は、ハッとして劉の靴箱を開ける。
「ない!!」
劉の靴箱の中には、劉の上履きが有るだけで、通学用のローファーはない。
もう既に外へ行ってしまったことは明白だった。
急いで私も上履きを脱ぎ、ローファーに履き替えて、校舎を出る。
「(間に合わなかったらどーしよ…!!)」
こんなに走ったのは初めてで、息も途切れ途切れ。
酸素が回らなくなってゆく頭の中には、焦りしかなかった。
私がもっと早く動いていれば…もっと早く自分の気持ちに素直になっていれば…!
そう思うと、じわじわと涙が浮かんでくる。