青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第21章 側にいて
私は震える唇を強く噛みしめ、そしてゆっくりと開いた。
「………せ…」
「え?」
「離せって言ってんの……」
ふぅ…と一つ小さな深呼吸をして、私は真っ直ぐに紫原を見上げる。
「劉のトコに行くから…離せって…言ってんの」
「枝ちん…!」
ホンット…ここのバスケ部はお節介でお人好しな人ばっかだ。
私の言葉を聞いた紫原は、ふふっと笑い、私から手を放す。
「枝尾!劉は多分昇降口に行ったはずじゃ!」
アゴリラの声を耳に入れながら、私は勢いよく教室を出る。
「…福ちんってば。こんな嘘、後で怒られても知んないよー?」
「馬鹿言うなよ。寧ろ感謝して欲しいくらいだぜ。いつまでも”あったかーく”見守ってるこっちの身にもなれっつーの」
「全くじゃ。世話が焼けるのぉ」
「そうですね。俺たちも行きましょうか」