青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第21章 側にいて
すると、紫原が福井ちゃんから私の体を奪い取り、私の胸倉をつかんだ。
「ちょっ…むらさ…」
「いつまでそーやって意地張ってんの?」
紫原の顔はすぐ目の前にあり、凄く怒っていることがよく分かった。
こんな顔…WC以来だ。
「好きなんでしょ!?何で素直に『好き』って言わないの!何で素直に『行かないで』って言えないの!」
ちょっと…止めてよ…。
たった今蓋したばかりなんだから。
開けようとしないでよ。
紫原の目に映る私の顔は、今にも泣き出してしまいそうに歪んでいた。
「好きな人が自分を見てくれてることって、普通は有り得ないんだよ!?好きな人が当たり前に側に居てくれることって、すっごく幸せなことなんだよ!?まだ間に合うかもしんねーのに、何でもう諦めんの!?」
「!」
その言葉の数々は、とても重みがあった。
きっと、紫原が言うから余計なんだろう。
諦めは付いた。とは言っても…きっとまだ心のどこかでは、藍川のことを想ってるから。