青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第21章 側にいて
訝しげに福井ちゃんを見ていると、隣のアゴリラが声を荒げて答えた。
「劉が中国に連れ戻されるんじゃ!!」
アゴリラの言葉に、私は目を見開いた。
劉が…?中国に…?
頭が真っ白になっていくのが自分でも分かった。
「どういうことですか?」
私の代わりに氷室が問いかけた。
「今、劉が応接室に連れてかれてるトコを偶々見かけたんだよ」
「それで『何かあったんですか?』と、近くに居た教頭先生に聞いたら、『劉の留学期間が終了したにもかかわらず、中国に帰ってこないから向こうから迎えが来たそうなんだ』って言われたんじゃ」
は…?嘘でしょ…?
ダメだ…頭がついて行かない…。
もしかして、さっきの「来客」って言うのは…そーゆーこと?
いつかはこんな日が来るって分かってたのに…覚悟してたのに…。
突然のこと過ぎて、整理がつかない。
「鈴佳!止めるなら今だ!今ならまだ間に合う!!」
福井ちゃんは私の肩を揺らして言う。