青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第20章 流れ星に
「あ。始まったよ」
氷室が空を見上げて言った。
それを聞いた私たちも空を見上げると、無数モノ流れ星が目まぐるしく流れていく。
田舎特有の街の明かりの少ない土地故、それはホントに、よく見える。
「わぁ…すっご…」
抜け出させてくれた劉には感謝だ。
幻想的なその光景。
「合格しますように。合格しますように。合格しますように…」
「受験合格。受験合格。受験合格…」
そんな雰囲気をぶち壊す、受験生たち。
気持ちは分からなくもないが、必死過ぎ呪いの言葉みたいだし、笑えてくる。
「必死過ぎアル」
「藁にも縋る思いなんじゃなーい?」
「うるせー!お前らも先輩の合格祈願してろ!」
祈る二人を、劉と紫原が冷めた目で言うと、福井ちゃんは必死に反論。
「俺はーもう別のお願いしたから無理だよー」
福井ちゃんの言葉に、そう返すのは紫原。
「へぇ…アツシは何をお願いしたんだい?」
「んー。赤ちんと藍ちんが幸せで居られますように」
「優しいんだな、アツシは」
氷室は紫原に微笑みかける。