青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第20章 流れ星に
私は恥ずかしさのあまりに、劉の手から自分の手を抜き取った。
「ほ、ほら…皆待ってんでしょ?」
照れ臭くて、恥ずかしくて。
私は劉に背中を向けて、皆が待ってるであろう公園へ歩き出す。
「鈴佳」
歩き出した私を劉が呼び止めた。
振り返って劉の顔を見てみるが、辺りが暗いこともあって、表情は見えない。
「何?」
「……何でもないアル」
「変なの」
わざわざ呼び止めたのに、何もないって…。
私はクスッと笑った。
「劉ー鈴佳ーこっちだー!」
福井ちゃんの声がした。
声の方を見てみれば、声の主の福井ちゃん、アゴリラ、氷室、紫原の姿がぼんやりと見えた。
「え…?福井ちゃんとアゴリラも居んの!?受験生なのに!?」
「偶には息抜きもしたいって言ってたアル」
「息抜きって…受験、来週なんじゃないの!?」
「細かいことは気にしないアル」
ほら。と言って差し出された左手。
私は劉のその手を取って、皆の元へ走り出した。
「遅いぞ、枝尾。何をしとったんじゃ」
「それこっちのセリフ。受験生が何してんの?」
「息抜きも必要だろ」
「これで落ちたら笑っちゃうよねー」
「オイ!紫原!今のわしらに『落ちる』は禁句じゃ!」
懐かしのいつものメンバー。
揃うといつものように言い合いが始まるし、また笑いだす。
他愛ないことで笑ってられる、心地いいこの空間。