青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第20章 流れ星に
それから劉は、持ってきて置いたという外履き用のサンダルを私に履かせる。
「こっちアル」
劉曰く、誰にも見つからずに監視カメラにも捕まらない侵入口があるらしい。
一体いつそんなモノを見つけたんだ。
そもそも、そんな甘いセキュリティでいいのか。陽泉高校女子寮よ。
と頭の片隅で思いながら、私は劉に付いて行き、女子寮を抜け出した。
「…ぶえっ、くしゅっっ…う゛う゛…寒い…」
何とか寮を抜け出し、安堵の息をついたと同時に盛大なくしゃみをかました。
「そんな薄着じゃ、寒いのは当たり前アル」
「んなこと言われたって、急だったから仕方ないじゃん!」
私はもう寝る寸前だったんだ。
部屋着そのままで出てきた私は、外の冷たい空気に晒され、ブルブルと震える。
対して劉は、外に出ることを踏まえたうえでの厚着。
不公平だ。
すると、劉は自分の首に巻いていたマフラーを私の首に掛ける。
「風邪引いたら大変アル」
「……」
「手も冷たいアルな」
いつかしてくれたみたいに、私の手に「ハァ…」と息を吹きかけてくれる劉。
今が夜で良かったと思う。
だって、絶対私の顔が真っ赤だから。